約束の指にキスして。
ずるい私は、まだ認めたくない。
半年後、隣に桔平が居ないなんて。

知りたくない。

桔平が、どんな人に奪われるかなんて。
想像したくも…ない。

次々浮かんでくるのだけれど…



『1つ聞いて良いか?』

健司の声がかかる。
桔平は少しだけ顔を上げて、そして私の頭を撫でた。

『お前、婚約者の側に居てやらなくて良いのかよ。』

『…』

『健司っ…それはっ……』

『聞きたくねぇとかそんなん無しだぜ瑛梨。自覚しろよ。お前、婚約者が《別》にいる男と付き合ってんだよ?』

『…っ……』
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