約束の指にキスして。
『…今は話せない。』

『…無いんだろ??じゃなきゃ今ここで、こんな事できるはずねぇもんな…』

『………』

『んな結婚やめちまえよ!』

『出来ねぇんだよ。』

桔平は、私の耳をギュッと押さえる。
聞こえないようにしてくれてるの??
でもね…聞こえるよ。
それが余計切なくて…。

『やめられたら…絶対瑛梨にこんな顔させてねぇ。させたくねぇ。』

桔平は、そっと私から手を離すと、私の手から三匹のリードをとった。

『…はぁ。』

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