約束の指にキスして。
『俺にも開けて?』

『良いの??』

『ん。初めて開けるから、瑛梨にしてもらいたいし。』

桔平は私に左耳を差し出した。

『…なんか意外だな。もう開いてるのかと思ってた(笑)』

『なにそれどういう意味?(笑)』

『んー?だってさ、レオさん沢山あいてるじゃん?だから、桔平も開いてるのかなって。ほら、桔平レオさんになついてるし!』

『なにそれ…。まぁ、レオはさ、俺の《父さん》みたいなもんかな。アメリカで一人で居たとき、レオが拾ってくれたんだ。』



──パチン。

機会音が広い部屋に響く。
桔平の肩は僅かに上下したけど、それ以外は普通で、何事もなかったかのように私に笑いかけた。

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