約束の指にキスして。
『目ぇつぶって。』

『えぇ?ぅん…』

耳たぶに桔平の指の温もりを感じる。
直ぐ近くに桔平の顔があって…
目を開けてなくても、自分の顔が真っ赤なのがわかる。
瞼の向こうで、桔平が微笑んだような気がした。
そして、私の唇に優しくキスをすると、桔平は言った。

『…良いよ。』

桔平に鏡を差し出されて、鏡を除き込む。
私の耳に、キラリと輝くピアスが光っていた。

『これ…』

『誕生日プレゼント。』

まだ微量の痛みと微熱ののこる耳にふれてみる。


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