約束の指にキスして。
『…びっくりした。誕生日の日、マックスがくわえて持ってきてさ。すぐわかったよ、瑛梨だって。………すっげぇ嬉しかった。』

桔平が照れたように笑うので、私も嬉しくて微笑み返す。

『私も嬉しかった。』

そうアノとき。

『キッペーがもってきてくれた…毎年毎年。桔平しかしらない事ばっかりつまった指輪を毎年プレゼントされてて…嬉しかった。だけど私、素直になれなくて。ホントは、すぐに会いに行きたかった。』

『…ん。俺も。』

『ねぇ、桔平。もしあのとき…』
もしあのとき。
高校2年生の、放課後の夕日のバージンロードに立つ私たち。

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