約束の指にキスして。
繋いだ手は、離したくなかった。だけど…私は自分から無理矢理離したんだ。

『もしあのとき、もう少し早く…桔平が好きなんだって気付けてたら……素直になれてたら。今、こんなに押し潰されそうな気持ちにはなってなかったのかな……。今は違ってたのかな…』


『瑛梨…』

桔平が私の頭をギュッと抱きよせて、桔平の鼓動が直に耳に伝わる。
ねぇ、今、桔平の心のなかもギュッとなってて苦しい?
苦い?

鼓動だけじゃ伝わってこないよ…

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