約束の指にキスして。
『やっ……ヤだ…ヤだ桔平!何してるの…?』

私の叫びに、桔平の肩が少しだけ反応して、女の人を優しく突き放した。

『アリス…もういい。』

『そぉ?じゃあ続きは後にね…』
桔平は私に背を向けて、ドアに手をかけた。

『待って!!』

桔平の手がとまる。
私は…泣かないように堪えながら必死で桔平の背中に呼び掛けた。

『行かないでよ桔平…愛してるって言ってくれたじゃん。好きだよ、って………私の側に居てよ……』


桔平は一度も振り返らない。
行かないで。
何がおこってるの?
なんで桔平は私の顔を見てくれないの??

< 457 / 526 >

この作品をシェア

pagetop