約束の指にキスして。
私の涙を拭う、健司の手からは柔らかな洗濯洗剤の匂いがした。


『お前ずっとないてばっか。…まぁ当然だけど。』


健司は私をあやすようにして頭を撫で、手を握った。
健司の指が私を手の甲を撫でる。

『なくな。俺瑛梨の泣き顔ばっかみたくねぇんだ。…ねぇ瑛梨?顔あげて?…俺、調べたんだ。』

健司は私をソファーに座らせて、自分もその隣に腰を下ろした。

『桔平の親父さんてさ…俺達見たこと無かったじゃん?俺達特に気にも止めてなかったけど。』

コクりと頷く。

『桔平の親父さんって、政治家なんだ。……あの、有名な岡田 誠士。』


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