約束の指にキスして。
「嫌か?」

「…」

「俺と結婚するの、嫌か?」

相変わらず私の顔を見ないで、匡ちゃんは話す。

「嫌もなにも、意味分かんないよ!」

「…」

黒塗りの、広すぎる車のシートを掴む。

「俺は…ずっとずっと、好きだった。小さい時からずっと、瑛梨の事が。」

「そんな…」

「忘れらんないよ、瑛梨に手ぇ出した日の事。お前…俺に、ありがとうって言ったんだ。助けてくれて、ありがとうって。」

「…」

「あの日から誓ったんだ。俺が守るって。生涯をかけて…瑛梨がいけないんだ。こんなに汚い俺を、いつも許して求めてくれるから。」

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