約束の指にキスして。
だけど、今の匡ちゃん、そんなの隠そうともしなくて、まるで別人みたい…

「俺がつかえるのは、生涯一人だけだよ。」

「匡ちゃん…?」

匡ちゃんはそう言ったまま、まただまりこんで、外を見つめる。

そうしてあたしは空港まで連れていかれ、匡ちゃんと二人で飛行機に乗り込み、行き先を知らされぬまま飛行機は飛び立ったのだった。


××××××××××

「どうしたの?いらないのか?」

「…………。」

カチャリ、とフォークをお皿に置く音が響いて、あたしはテーブルクロスまで落ちた視線があがらない。

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