約束の指にキスして。
『ちょっと先輩、いい加減離れてくださいよ。』

声がして、梓先輩が私から離れる。
そしてアタシは腕をひっぱられ、大きな胸のなかにおさまった。

『先輩がギューするのはリョウにぃでしょー。瑛梨は駄目です。俺達のだから。』

桔平の声が真上から聞こえる。
今まで緊張しっぱなしだった肩の力が、ようやくぬけた。

『良いんですー!瑛梨ちゃんアタシの妹だもんっ。早く練習戻れ、後輩!』

『今休憩ですよ、センパイ。』

横から声がする。
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