約束の指にキスして。
少し泣きそうになった私の顔を覗きこみながら身振り手振りで話す。
桑原司?
どっかで……。

『いちおー席隣だったりするんだけど。』

気まずそうに話すその人を見て、ちょっとだけ思い出す。
あ。そう言えばそうだったかも。いつも窓の外ばっかり見てたからきづかなかったケド……。

『……。』

困ってうつ向きながら走っていると、急に腕を引っ張られて体が傾いた。

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