約束の指にキスして。
『なんか瑛梨に用?』

桔平の声が頭の上から聞こえる。
肩が上下していて、鼓動が速い。
もしかして全力失踪の後、休みもしないでアタシの所に来てくれた??

『用って言うか、一回瑛梨ちゃんと話してみたくて。』

桑原君は、桔平の問いに嫌な顔せず答えた。

『ほら、今、瑛梨ちゃんちょっとさ……あれじゃん。心配だよねー?変な虫つかないか、さ。そんなに息をきらす程に。』

ニコリと笑うと、桑原君は手をふって、再び走りにいった。

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