約束の指にキスして。
『ねぇ、きっぺぇどこいくの?』
引っ張られるがまま歩いて数分。体育館に入ると、やっと桔平が口を開いた。

『アイツ誰。』

『え?』

首を傾げると、桔平は胡座をかいて座り込んだ。

『分からない。隣の席だって。』
『…そっか。なんかされた??』
『ぅうん。ただね?私、何も言えなかったから、桑原君は嫌な気持ちになったかも……』

桔平は手を握ってアタシを引っ張った。

『こっちおいで。』

ギュッと抱き締められて、身動き出来なくなる。
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