好きな人に「性別を変えたい」と言ってみた
僕は、近所に住む女の子たちとおままごとやお人形遊びがしたかった。ランドセルは赤やピンクがよかったし、可愛いスカートやワンピースを着て学校に行きたかった。

でも、それを口にすると「おかしな子。女の子みたいなことを言うなんて、何かの病気じゃないの?」とヒソヒソと言われる。そして、父さんから「女みたいなことを言うな!」と殴られる。

僕は男なんて嫌だ。女の子になりたい。そう口にすればするほど、周りから変な目で見られる。そして、その言葉は口にしてならない呪いの言葉なのだと大きくなってから知った。

その呪いは遠い場所に来ればなくなるんじゃないかって思って、大学はアメリカに留学することを選んだ。

「女ならわざわざ行かせることもないと言うが、静は男だし大丈夫だろう」

そう言われて送り出され、僕はアメリカの大学で自分の学びたいことを勉強している。そしてそこで、性同一性障害という言葉を初めて知った。知ったきっかけは、好きになったアンジーからだ。
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