好きな人に「性別を変えたい」と言ってみた
数十分後、勝負はアンジーが勝った。アンジーは僕よりもいい組み合わせになったカードを見せつけ、「静の秘密、聞かせてもらおうかな」と言う。
僕は慌てて逃げ出し、冒頭に戻る。
心臓がバクバクうるさい。それほど走っていないのに、呼吸がこんなにも乱れている。僕が人に言えない秘密ーーーそれは性同一性障害だということ。それ以外思いつかない。
とにかく大学から出ようと思って廊下を走っていたけど、運動神経抜群のアンジーが僕に追い付くのは安易なことだ。
「おい、待てよ!」
アンジーに腕を掴まれ、彼の方を向かされる。アンジーは汗をかきながら戸惑った顔をしていて、そんな必死な表情を見ていたら、また胸が高鳴ってしまう。
「ごめん。やっぱり、秘密なんて簡単に人には言えないよな。本当にごめん」
何度も、何度も、アンジーは謝ってくる。逃げたのは僕なのに。アンジーは何も責めたりしない。日本にいた頃、逃げ出したらあんなにも責められたのに……。
「……好き」
気付いたら、涙と共にその言葉が出ていた。
僕は慌てて逃げ出し、冒頭に戻る。
心臓がバクバクうるさい。それほど走っていないのに、呼吸がこんなにも乱れている。僕が人に言えない秘密ーーーそれは性同一性障害だということ。それ以外思いつかない。
とにかく大学から出ようと思って廊下を走っていたけど、運動神経抜群のアンジーが僕に追い付くのは安易なことだ。
「おい、待てよ!」
アンジーに腕を掴まれ、彼の方を向かされる。アンジーは汗をかきながら戸惑った顔をしていて、そんな必死な表情を見ていたら、また胸が高鳴ってしまう。
「ごめん。やっぱり、秘密なんて簡単に人には言えないよな。本当にごめん」
何度も、何度も、アンジーは謝ってくる。逃げたのは僕なのに。アンジーは何も責めたりしない。日本にいた頃、逃げ出したらあんなにも責められたのに……。
「……好き」
気付いたら、涙と共にその言葉が出ていた。