月夜に笑った悪魔 (番外編)
「……いずれ本当のことがわかるはずだ。強気でいられるのも今だけだからな」
私たちの目の前で立ちどまった茶髪の男性。
手をあげた私と岳を見ると笑みを浮かべて。
私に拳銃を向けられそうになったところで……
「まずはお前から──」
男性が最後まで言い終わる前に、岳がその拳銃をつかんだ。
つかんだ手とは反対の手で素早くジャケットの内側から拳銃を取り出すと、響いた乾いた音。
本当に、一瞬の出来事だった。
もうひとつあったのか、岳の手には拳銃が握られていて、拳銃から出ている硝煙。
……撃ったのは岳。
茶髪の男性の手からは持っていた起爆スイッチが落ちて、ぽたぽたと垂れる血。
手に銃弾が直撃した。