月夜に笑った悪魔 (番外編)


岳は間を置かずに目の前の男性を殴り飛ばす。


見に届く鈍い音。


殴り飛ばされて、気を失った茶髪の男性。



「あれがダミーってわかってんだよ。俺はお前が本物を出して近づいてくるのをずっと待ってたんだ。
ほんとにバカすぎだなぁ、お前らは」



さっきまで茶髪の男性が手に持っていたものを拾うと、岳はそれを私に渡す。


渡されたのは、起爆スイッチ。
これは……本物。



私は、岳の言葉を思い出す。

『起爆スイッチは一応奪った』
岳とここで合流して、そう言って奪った起爆スイッチを渡された私。


あの時、“一応”ってついてた……。
それは、つまり……最初に奪った起爆スイッチがダミーだってわかってたってこと。




「こっちは俺が片付ける。お前は爆弾解除しろ」


ばさっと岳が脱ぎ捨てたスーツのジャケット。
それから、まっすぐに前を見た。


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