月夜に笑った悪魔 (番外編)
……私も最後まで力になりたいところだけど私が出ていっても足を引っ張ることしかできない。
……悔しい。
なにが“私のことは守らないでいいよ”、だ。私は1人だとなにもできないのに……。
自分の無力さを悔やんだ直後、プールに落とされた男性が岳の足をつかんだ。
岳は舌打ちをすると足をつかまれた手を払うが、彼が少し視線を落としたところで聞こえてくる銃声。
岳に向けて、この場にいる1人の男が発砲。
それを紙一重で岳は避けると、重心が傾く。
体が傾いた瞬間、プールに落とされた男性が岳の足をまたつかむ。
さらにプールに落とされたもう1人の男性も岳の足をつかんで……。
プールに落ちるギリギリのところにいた岳は、大きな音を立ててプールへと落ちた。
「今だ!やれ!」
「チャンスだ!」
「ぶっ殺せ!」
次々に聞こえてくる声。