月夜に笑った悪魔 (番外編)


「月城岳……お前、押されてんじゃねぇか。体なまってんだったら今度俺が鍛えてやろーか」


視線を向けた人物は、プールの中にいる岳。

その言葉は……岳を怒らせるのには充分だった。




「……誰が押されてるって?」



怒りを含んだ低い声。


岳はぽつりとつぶやくと自分にしがみついていた男たちをぶん殴り、蹴り飛ばし。
自由になった体でプールからあがると濡れた髪をかきあげた。



「お前からぶっ殺してやろうかぁ、一条……」


暁の目の前まで行き、鋭い目付きで睨みつける岳。
殺気全開でかなり怒ってる。



……いや、味方。
私たち味方だってば……!

殺意向ける相手がちがう……!


「やれるもんならやってみろよ」


挑発する暁。


だから!
私たちは味方だってば!

なに2人でケンカしようとしてるんだ……!



柱の後ろからひょこっと顔を出して2人を見ているけど、殴り合いが始まるんじゃないかとヒヤヒヤ。

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