月夜に笑った悪魔 (番外編)


鋭すぎじゃないか。
暁って私の心の中を覗き見る能力でもぜったい持ってるよ。



「美鈴のペースに合わせるって前に言ったろ。許可なしにはなんもしねぇって」


……自分の言ったことをちゃんと覚えてた。
本当に自分が我慢してまで私のペースに合わせてくれるんだ。


私、すごく大切にされてるな……。

優しさに胸が熱くなっていく。



「抱いて、ってお前が言うなら今すぐ抱くけどな」



つないだ手とは反対の手が私のパジャマのボタンに触れる。


プチン、と上からひとつはずされるから慌ててその手をつかんでとめた。



「も、もうちょっとだけ、待って……」


心の準備がやっぱりできてない。
我慢させるのは申しわけないけど……次こそは覚悟を決めておきたいところ。


「りょーかい」


彼は笑うと顔を近づけて、おでこにキスをひとつ。

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