月夜に笑った悪魔 (番外編)
「潜入捜査、ですか」
ぽつりと呟く紫乃。
その“潜入捜査”という言葉に心臓がドキリとする。
潜入捜査……私には嫌な思い出しかないから。
以前、クラブで潜入捜査した時のアレ。
本当に助からないかもしれないと思った、あの時。
暁が私の状況を知っていながら助けてくれなかったあの時のこと……!
私は絶対に忘れない。
「暁と岳がいても危険があるかもしれないし、もちろん無理に同行しろとは言わないよ。またなにか考えるからね」
暮人さんがそう言うと、紫乃は。
「私は同行します」
と答えた。