月夜に笑った悪魔 (番外編)
軋むベッド。
「うん」と頷けば彼は腕を伸ばして、私はその上に頭を乗せる。
人生ではじめての腕枕。
さらに心が温かくなっていく。
暁と近づく距離。
もう少し近づきたくて限界まで近寄った。
「かわいすぎ」
近くにある整った顔。
声が至近距離でして、彼は私の背中に手をまわすとさらに私を引き寄せてくれる。
「……暁、今日すごくかっこよかったよ」
温かさが眠気を増幅させてうとうとしてくるけど口を開いた。
暁はいつもかっこいい。
でも今日は格別にかっこよかった。いっぱい活躍しててすごかった。
……それを寝る前にどうしても伝えたかったんだ。
「惚れた?」
降ってくる声。
声のトーンが少し高くて、暁が今どんな顔してるのか見なくてもわかる。
口角を上げて楽しそうに聞いてるんだろうな。
そんなこと聞かれなくても、もちろん私は……
「惚れてるよ」
そう返せば背中にまわった手に力が入る。