月夜に笑った悪魔 (番外編)
「うん!」
大きく頷いた私。
一方で暁はなにも言わないから、この場にいるみんなの視線は暁に向けられる。
未玖ちゃんと巧くんは不安そうな表情。
まさか断ったりしないよね!?
なんて不安になったが……
「あぁ」
と遅れてかえってきた返事。
暁は柔らかい表情。
「わたし、ババ抜きからやりたい……!」
「……ぼ、ぼくも!」
その表情を見た未玖ちゃんと巧くんは安心して座って、みんなでババ抜きからやった。
そして──暁はみんなの表情を読み取ってジョーカーを避けて、大人気なく圧勝。
私はポーカーフェイスで乗り切ろうと思ったけどまんまと表情を読み取られた。
……普通に悔しい。
っていうか、ババ抜きって表情を読み取るゲームだっけ?
「おにーさん、すごすぎる……!」
「……すごいっ」
瞳を輝かせる未玖ちゃんと巧くん。
2人は楽しんでいたみたいだから、大人気なくてもまぁいいか。
「もう1回やろう、もう1回!」
今日は何度もババ抜きをして、距離は縮まり……。
未玖ちゃんと巧くんは暁によく懐くようになった。
本当に、もう私が心配することはなにもない。
一条組と月城組はいい関係を築いていけそうだ。