月夜に笑った悪魔 (番外編)
after story8
今日は暁とデートの予定だった。
前から決めていた、この日のデート。
彼と2人きりで出かけるのははじめてで、これが初デートになる予定だったのに。
【悪い。シゴトがまだ終わりそうになくて帰れない】
そんなメッセージがスマホに送られてきたのは、つい5分前。
持っている中で1番お気に入りのワンピースを着て、髪をきれいに整えて、メイクだって可愛くできたつもり。
それなのに……それなのに。
スマホを見て、悲しい気持ちが込み上げる。
……でも、仕方ない。
暁は若頭で、シゴトが忙しいから。
昨夜シゴトで出かけたっきりまだ家に戻っていなくて、もしかしたら……とはほんの少し思っていたんだ。
暁は悪くない。
……デートはまた今度すればいいもんね。
悲しいけれど、ぐっと耐えて。
【わかった。頑張ってね】とだけ彼にメッセージを送り、そのあとは特にやることもなく私はだらだらと過ごした。