月夜に笑った悪魔 (番外編)
少し離れたところから聞こえてきて、目を向ければ……。
家の門のところに見えた人影。
外にいた組員たちが集まって、その人に向かって頭を下げていく。
こっちにその人影は近づいてくれば、誰だかわかった。
帰ってきたのは、暁。
「暁だぁ~~!おかえりっ!」
ふらふらする足で彼の元へと向かって、ぎゅっと強く抱きつく。
ピタリと足をとめて、固まってしまう彼の体。
彼を見上げれば、なにやら驚いた顔をしていた。
「おねーさんが、おかえりのキスしてあげようか♡」
背伸びして、人差し指で触れた彼の柔らかい唇。
さらに驚いた顔をしていたから、なんだかおもしろくて「なーんてね」と付け足して笑う。