月夜に笑った悪魔 (番外編)
さっと私の目の前に立つ彼。
大きな背中が、私の視界を遮った。
私と月城岳の間に入ったのは、暁。
彼が私の手を強く手を握ると、心の中に少しずつ安心感が広がっていく。
それと同時に、申しわけなさが込み上げた。
暁と月城岳を仲良くさせたい、と思っていたのに……私がよけい空気を悪くしてしまった。
月城組は今では仲間、なのに……。
その仲間を私が怖がるなんて、相手はいい気はしないだろう。
「……あぁ」
紫乃の言葉に遅れて返事をする月城岳。
「岳様も変装しなくてはいけないので一緒に行きましょう」
「…………」
無言の月城岳の手を引いて、歩き出す紫乃。
そのあとにまたついて行く暁と私。