月夜に笑った悪魔 (番外編)
「見慣れてない……っ!」
私は立ち上がり、すぐに部屋を出ようと襖に手をかける。
けれど、後ろから聞こえてくる声にピタリと手をとめた。
「これから俺たちはあんなことやそんなことするんだし、いい加減これくらい慣れろよ」
“あんなことやそんなこと”
つい、想像してしまう。
想像するのは、キス以上のこと……。
想像してしまえば心臓がこれでもかと暴れて、体が熱くなる。
「美鈴。おまえのペースに合わせるとは言ったけど、俺はいつまでも待てるわけじゃねぇからな」
後ろから聞こえてくる声に、ただ頷いて部屋を出た。
……わかってる。
私だってしたくないわけじゃないから、ちゃんと覚悟を決めなくちゃ。
そう思ったあと、耳に届く声。
またまた、あの音声だ。