月夜に笑った悪魔 (番外編)
いい人すぎる。
相談してよかった……。
「ありがとうございます……!ぜひバイトさせてくださいっ!」
私が大きな声で返した直後、開かれた襖。
見えたのは、暁の姿だった。
びっくりして飛び跳ねる心臓。
「…………」
暁は私に目を向ける。
目が合って動けない。
……いつからいたんだろう。
今の、聞かれてた?
暁の表情からは今の感情は読み取れない。
怒ってなさそうには見える、けど……。
「もうなんもしてやらねぇから」
彼の唇が動いた。
そして続けて……
「おまえがバイトで疲れて寝坊しても起こさねぇし、勉強ももう教えてやらねぇ。バイトするせいで留年でもしろよ」
それだけ言うと、彼は去っていった。