月夜に笑った悪魔 (番外編)


自分でもなんてバカなこと言ったんだろう、って思う。
私も暁も高校生で、サンタさんなんて信じるキャラでもそんな歳でもないのに。



「ふはっ」


彼は吹き出して笑う。
なんだそれ、と大笑いされるものだから


「じゃ、じゃあ、それだけだから」


私は襖に手をかけた。
……が、「美鈴」と名前を呼ばれて。

手を引っ張られ、引きとめられた。



「悪かった」


再び目を合わせると、落とされた声。


「この間はあんなこと言って悪かった」


続けてその声は耳に届き、つかまれた手に力が入る。
強く握って離さない。


「ただちょっと……いや、けっこう不安だった。新しいことするってことは、新しい出会いがあるもんだろ?おまえが広い世界を見れば、俺のとこにちゃんと帰ってくるか心配だったんだよ。
なんとかしてバイト諦めてもらおうと思って、いろいろ言いすぎた。それは本当に悪かったな」


まっすぐに目を見て言われた。

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