月夜に笑った悪魔 (番外編)
……それが暁の正直な気持ち。
……暁は不安だったんだ。
いつも私だけが不安になってるのかと思ったけど……暁も私と同じように不安になることあるんだ。
「……あのね、私、どこに行っても暁のこと考えてたよ。暁のこと考えない日なんてなくて、毎日暁のこと好きだなって思ってる。
だから誰かほかの人が私の心の中に入る余裕なんてないよ」
暁と過ごした時間は濃くて、そう簡単に私の気持ちは変わらない。
変わるわけがないから安心してほしい。
なんて言ったら暁が安心するんだろう。
自分の気持ちを言葉で表すのって難しいな。
「……美鈴からキスして」
彼は屈んで顔を近づけて、至近距離でピタリととまる。
「目、つむって……」
目は開いたまま。
見られてキスするのはやりづらいからそう言えば、彼は瞼を閉じた。
いつ見てもきれいな顔。
私はそっと顔を近づけて、唇にキスをひとつ。