月夜に笑った悪魔 (番外編)
after story10
「美鈴」
脳内に響く声。
体を揺すられた気がしてパチリと目を開ければ、目の前にいた暁。
……あれ?
……暁、いつの間に?
「危ねぇし風邪ひくから外で寝るな。凍死すんぞ」
そう言いつつ彼は私の首に自分がしていたマフラーを巻いてくれた。
嘘!?
私、外で寝てた!?
自分でもびっくり。
今日は大晦日。
バイトが終わった私は外に出て、迎えに来てくれる予定の暁がまだ来ていなかったから、待っていたところだった。
外で待っていたのは、一刻も早く彼に会いたかったから。
雪が少し降っていたけど、会いたい気持ちのほうがやっぱり強くて。
閉店後のお店の駐車場のパーキングブロックに座って待ってたんだけど……寝てたとは。
「雪積もってる」
彼は笑いながら私の頭の上の雪を払ってくれる。
ほんと、凍死しなくてよかった。
この寒さの中寝るとかやばすぎるよ、私。