月夜に笑った悪魔 (番外編)
after story11
季節はめぐり、春。
私は3年生に、暁は2年生に無事に進級した。
「あーあ。留年すればよかったのに」
お昼休み、お弁当を食べ終えたあと彼は私の肩に自分の頭を乗せてくる。
暁は心の声がだだ漏れ。
その言葉は今日だけじゃなくて、もう何度も聞いた。
すごく残念そうにしてるから、本当に私の留年をのぞんでいるのかと思うほど。
「美鈴、2年になれよ」
「ヤダ」
「じゃあ3年で留年しろ」
「ヤ、ダ。ぜったい卒業するもんね」
「…………」
ムスッとする彼。
ぐりぐり頭をぶつけて地味に攻撃してくる。
「もしかして、私が先に卒業するのが寂しいの?」
笑いながら聞いた。
なーんて、と付け足そうとした時に
「寂しい」
ぽつりと返ってきた言葉。