月夜に笑った悪魔 (番外編)
やばい、と思うのと同時にさらに強く手を引っ張られ。
彼の足に躓いて、前に傾く体。
私は反射的に手を出して、つかまれていないほうの手をソファの背もたれについた。
「あぶな──」
危ないじゃん、と言いかけてやめる。
瞬きをすれば視界に映ったのは暁の整った顔のドアップ。
黒い瞳にきれいな肌。
相変わらず顔のパーツがぜんぶ整っている。
急に近くなった距離にドキリと鳴る心臓。
「んぅっ」
思わず見とれていると、首筋をつぅっと滑った長い指。
ゾクゾクして、体の力が一気に抜ける。
「あっぶな」
私の背中に手をまわして体を支えてくれた彼。
よいしょ、と軽く持ち上げると向き合うようにして私を自分の膝の上に乗せる。