月夜に笑った悪魔 (番外編)
行かなくちゃ……。
そう思うけど、彼は私を離さない。
私の首元に顔を埋めて、強く吸いついた。
「あっ……やぁっ」
背中にまわった手が私を強く引き寄せる。
体に力が入らなくて一切抵抗できない。
弱いところばかり攻められては、いつも反撃できない。
「やめ……んっ、」
やめて、って言いたかった。
私に今できることはそれくらいしかないんだ。
でもその3文字もちゃんと言わせてくれない。
……言えたところで彼がやめてくれるともあんまり思えないんだけど。
何度も吸いつかれ、ざらついた舌が這って……。
やっと彼がとまった頃には、体はくったり。
「これじゃあ授業受けらんねぇな?」
彼は私を見ると楽しそうに笑った。
熱を持った体。
顔も熱くて、とても今ほかの人に見せられる顔じゃない。
「……バカ」
結局、暁の思い通り。
小さくつぶやいて、私は授業をサボってしまった。
次の授業はちゃんと受けようと心の中で誓った、が──5時間目終わりの休み時間もまた同じように弱いところばかり攻められて。
6時間目の授業も欠席。