月夜に笑った悪魔 (番外編)
***
バイクをおりると手を引かれ。
早足で連れ込まれたエレベーター。
暁がボタンを押すと扉が閉まって、上へと昇っていく。
「んっ」
私が話す隙を一切与えず口を塞いでくる。
塞いできたのは彼の唇。
強く握られて動かせない両手。
押されるから私は端へと追いやられ、壁に背中と頭を軽くぶつけた。
ガラス張りのエレベーターだから、怖いけど……
彼の顔が目の前にあって外の景色は見えない。
息を吸うタイミングも与えてもらえない、強引なキス。
され続けるから怖いと思ってる暇さえもない。
「……っ、やぁっ」
苦しくなって離れようとしても離れられない。
押し付けられて逃げ場なんてない。
息を吸えず、苦しくなる一方。