月夜に笑った悪魔 (番外編)


……暁は私を殺す気か。
酸素……酸素をちょうだい……。



手は握られて動かせないから、私は足で抵抗。
彼の足をぐっと強く踏んずける。



すると、やっと離された唇。


私は大きく息を吸った。
吸って、吐いて……。


何度も大きく息を吸ったところで、顎を持ち上げられて──……また唇が重ねられる。




「んんっ」


もう少し……もう少し吸わせてよ。

そんなことを思ってもこの気持ちは彼には届かない。



強引なキスをされ続け、また息が苦しくなった頃にエレベーターの扉が開いた。


誰かに見られたかも、とヒヤリとしたがそんなことはなく。

最上階に到着しただけ。


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