月夜に笑った悪魔 (番外編)



嫌な予感しかしなくて私も走って家の中へと戻って、居間へと行けば……

大勢に囲まれていた人物。



組員の人たちの間から見えた、とある人物は倒れていた。


倒れていて、暁に体を支えられていたのは和服姿の暮人さん。



青白い顔。
苦しそうに呼吸をしながら「……大丈夫、だ」と言うけど、ぜんぜん大丈夫そうじゃない。



「救急車呼びました!すぐ来てくれるそうです……!」


スマホを片手に走って戻ってきた春樹さん。







──その数分後、救急車は到着。


暮人さんは運ばれていき、暁はその場に立ち尽くす。


「暁!暁は暮人さんのそばにいてあげて……!」


彼の背中を押すと、暁ははっと我に返る。


「……美鈴も来い」


私に触れたのはひどく冷たい手。
その手から感じたのは、小さな震え。


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