月夜に笑った悪魔 (番外編)
……持ってきても中に入る前に荷物検査とかされたら最悪だけど。
一応それも予想して、体のいろんなところに武器を巻つけてあるから丸腰にはならない。
それも見つかって奪われたらおしまいなんだけど……そうならないことを祈ろう。
──緊張しながら車に乗って1時間ちょっと。
思った以上に早く車はとまって、ドアが開いた。
とまったのは、見上げるような高層ビルの前。
ここが、犬飼組。
……もっと和風な家を想像してた。
すごいところだな……。
「日南様、お待ちしておりました」
いつまでも車内にいれば、こっちに近づいてきた人。
びっくりして心臓が飛び跳ねる。
声をかけてきたのは、黒服姿の優しそうな雰囲気の男性だった。