月夜に笑った悪魔 (番外編)
「真帆様、日南様をお連れしました」
私をここまで連れてきた男性は扉の前で声を出す。
「入って」
中から聞こえてきた女の子の声。
それは、あの女の子の声だ。
声が聞こえた瞬間、扉の前に立っていた黒服姿の男性2人が同時に扉に手をかけた。
開いた扉。
そして、見えたのは……
金髪とツインテールが特徴の、セーラー服に身を包んだ女の子──犬飼真帆。
その子の半歩後ろにはまた黒服姿の男性が2人いて……床に倒れていた人物も目に入った。
「暁……っ!!」
ぐったり倒れているのは、暁。
彼の姿を目の前にして思わず大きな声が出る。
彼のもとへと駆け寄ろうとすれば、それは私をここに連れてきた男性によって制されてしまう。