月夜に笑った悪魔 (番外編)
私に寄りかかって、目を瞑っている彼。
手は重ねられて、強く握られている。
私は、暁に目を向けた。
だいたい車に乗って1時間が経過したところだが、彼の様子は特に変わりなくとりあえずそこはほっとひと安心。
暁は、お母さんのあの事件があって車に乗れなくなってしまったが……だんだんと乗れるようになってきた。
最初は数分乗るだけだったりしたが、今では長時間乗れるようにまで回復。
今日、心配だったけど……よかった。
あとは無理しないといいな。
じっと彼を見ていれば、彼は急に私から離れて。
自分が着ている黒服のポケットを漁ると、何かを取り出して、私に手を伸ばした。