月夜に笑った悪魔 (番外編)
……だけど、私の抵抗も虚しくおりてしまった瞼。
もう瞼が上がらない。
私の視界は真っ暗でなにも映らない。
ダメ。
私はまだ死ねない。
これからも暁と一緒に生きるんだ。
一緒に笑って、デートして、時にはケンカして……幸せな日々を過ごしたい。
その未来を諦めたくないから、絶対に死ねない。
「──美鈴!!」
急に聞こえてきた大きな声。
瞼が上がらないから確認できないけど、これは……暁の声だ。
……暁、もう戻ってきてくれたの?
暁、無理してない?
ケガは大丈夫……?
上を向かされると、ぐっと唇に押し当てられた柔らかいもの。
口内に入ってくる液体。
弱く私の喉は動いた。
口内の液体が全てなくなると、遠のいていく意識。
急な眠気が私を襲う。