月夜に笑った悪魔 (番外編)
「ちょっとトイレ行ってくるね」
私はベッドから起き上がり、スリッパを履く。
「大丈夫?一緒に行きましょうか?」
「大丈夫。1人で行けるよ」
「途中で倒れないようにね」
「大丈夫だって」
すぐ戻ってくるから、と言って私は病室から出ていった。
ゆっくり歩いていって、ひょこっと覗いたのは隣の病室。
「まだ起きてないよ」
ベッドの脇の椅子に座っていたのは、入院着に身を包んだ暮人さん。
すぐに私に気づいて教えてくれる。
ここの病室のベッドで寝ているのは、暁。
彼は何日も眠らなすぎて、麻酔を打って強制的に眠らされたらしい。
暁が眠らなかったのは……私が目覚めなかったのが心配だったから。
……3日も寝てたし、心配するよな。
……暁が起きたら謝ろう。