月夜に笑った悪魔 (番外編)
わかってる。
今の暁は、私に前みたいなひどいことはしない。
前みたいに、私が危険な状況なのにわかっていても助けない、なんてことはしないだろう。
それは、わかってるのに……。
「おまえが危なくなったら何がなんでもすぐ助けに行くから」
頬に添えられた手。
まっすぐに目を見つめられて、私は小さく「約束ね」と返した。
そうしたあと、停まった車。
どうやら赤信号で停まったみたいで、紫乃が振り向いて。
「2人とも起きてるみたいだから今渡しておくわ。
会場ではこれ耳につけてなさいね。これで緊急時に連絡が取り合えるから」
彼女が差し出したものは、イヤホン型の小さな機械。