月夜に笑った悪魔 (番外編)
……1回でとれた。
私、2回やってもダメだったのに。
すごいな、暁は。
「ありがとう──あっ、これももらうね」
暁の元へと行って桜の花びらを受け取れば、見えたもの。
彼の制服についていた花びら。
腕についていたから、花びらをとろうと手を伸ばした時についたのかも。
ついていた花びらもとって、大切にポケットの中へとしまっておいた。
そしてまた2人で歩く。
話していたのは他愛のない話。
卒業式で担任の先生が泣いてた話とか、最近食べて美味しかったものの話とか、2人で行きたいところをひたすら言ったり。
他愛のない話だけど、暁といる時間は特別で、幸せだ。
「美鈴」
彼が急に立ちどまって私の手を引っ張る。
私も立ちどまれば、なぜか手は離された。