月夜に笑った悪魔 (番外編)
「そういえば、俺これからシゴトだった。行ってくるな」
思い出したように彼は言うと、ぽんっと軽く撫でられた頭。
「えっ」
これから、シゴト!?
確かに暁は若頭で忙しいと思うけど……この話をした直後に行くの!?
彼は歩いて行こうとするから、私は慌てて起き上がって彼のシャツの裾をつかんだ。
彼は振り向くと、にやりと笑って。
「うっそー」
と、ひと言。
「…………」
安心感が込み上げてくるのと同時に、またムカついてくる。
嘘ってことは、シゴトが入ってないってことで。
ここにいてくれるのは嬉しい、けど。
……この男、私が怖いの苦手なこと知ってて言ったのか。
私の反応を見て楽しんでるんだ。ぜったいそう。
「かわいー顔」
暁はベッドの上に座り、私の頬に手を伸ばす。