月夜に笑った悪魔 (番外編)
当たりはしなかったけど、前を歩く彼の足がピタリととまる。
やっと、待ってくれる気になった!?
とまっている間に急いで追いつく私。
ヒールでも精一杯全力で走り、落ちたポケットティッシュを拾って岳に声をかけようとすれば……。
ギロリと睨みつけられていたことに気づいた。
鋭い目付きで私を見下ろしていて、目が合えばゾクリとする。
一瞬で恐怖が体を支配。
私の体は動かなくなった。
「怖いなら近づいてくるんじゃねぇ」
どんっと強く肩を押されて、後ろにさがる足。
岳はそれだけ言うとすぐにまた歩いていってしまう。