月夜に笑った悪魔 (番外編)
……また、やってしまった。
味方なのに怖がった。
暁にえらそうなこと言ったばっかりなのに。
……怖がっていたんじゃいつまでたっても仲良くなんてできるわけないのに。
何やってるんだ、私は……。
遠ざかっていく岳の後ろ姿。
恐怖心はすぐには消えないが、少し体が動くようになり、息をひとつついた。
そして、大きく息を吸って深呼吸。
……大丈夫、大丈夫。
月城岳という男は、16歳。
私より年下だ、年下。
変に怖がる必要はない。
私はおねーさんなんだ。
おねーさんの私がしっかりしなくてどうするんだ……!
ちゃんとしろ、私!
強く叩いた自分の頬。
心を入れ替え恐怖心を消して、また後ろ姿を追った。