月夜に笑った悪魔 (番外編)
……ど、どうすれば。
今は話してる時間なんかないのに……っ!
私の選択肢はふたつ。
今すぐ速やかに逃げるか、適当に話してから立ち去るか。
「あ、えと、……ははっ」
いろいろ脳内で考えた結果、とりあえず笑った私。
最善の方法がどれかをすぐに判断することができなかったから。
とりあえず笑っていると──
「ここにいたのか。探した」
落ちてきた声。
声のしたほうへと目を向けると、そこにいたのは救世主、岳。
「が……太郎!!」
思わず本名を言いそうになって、ぱっと思いついた名前を言った。