月夜に笑った悪魔 (番外編)
急な岳の出現により、つかまれた手の力が緩む。
私はその隙をついて手を払うと岳のほうへと向かった。
岳の隣ではなく、彼を盾にするように半歩後ろに立つ。
「太郎こそどこにいたの!?探したんだから!!」
本当にどこにいたのか。
数秒で消えて、またすぐ現れるなんて。まるで忍者だよ。
「そ、そちらは……?」
男性はぱちぱちと瞬きをしながら岳を見て、次に私に目を向ける。
「弟です……!」
「こいつの兄」
同時に口を開いた私と岳。
それぞれちがうことを言ったせいで、目の前の男性は頭の上にはてなマークを浮かべていた。